誰しもが日々の生活に疲れ、 日常に癒しを求める時がある。 その時、当店のシェフ28歳も その一人であった。 私の頭の中は、既にあの湯畑で 満たされて、今作っている オムライスも湯畑化していた。 そうだ!草津温泉に行こう。 お店を早締めし、シルバーの AMGに乗り込みナビを設定。 目的地は、無論あの湯畑。 走行距離は、およそ200キロ 時間にして3時間30分。 頭がお花畑になっている私には、 3時間以上もそんなに待てない。 関越道を突き進む。 とにかくひたすら突き進む。 時速は既に200キロオーバー。 何度かフラッシュを浴びた気が したが、そんな事は気にしない。 新幹線と同じスピードで、 あの美しい湯畑を目指す。 1時間半後、魅惑の草津温泉 例の湯畑広場に到着。 夜空輝く星の下、先程迄の パトカーのサイレン音は 既に静寂化し、そこには 癒しの時間があった。 1ケ月後、埼玉県警本部 から、私宛に親書が届いた。 『ファンレターかな?』 心躍らせ、封書を開封すると そこには、出頭命令 の 素敵な4文字が並べられていた。 後日、首をシッカリと洗って 埼玉県警本部に行くと、 最高の笑顔でハンドルを握る 私の顔写真が手渡された。 『こんな所にも私のファンが』 感無量に浸っている私は、 SPECIALファンの警察官に 埼玉ポーズを決めて、 埼玉県警本部を後にした。 年の瀬も近付いた頃、 場所は桜田門・警視庁本部 そこには、かの湯畑オムライス の発案者、私がいた。 1ブロック程先にある 東京高等裁判所で見た様な 部屋に通され、昔踊る大捜査線 で見た事がある、まるで いかりや長介氏を彷彿させる ポリスが、私に質問をした。 『何故シェフはこんなに  急いでいたのですか?』 私は、素直に答えた。 『あの湯畑が、いち早い  私の到着を待っていたから。』 ポリスは、私に告げる。 『 免取です。 』